九十:人はこの粗大な身体を通して
   すべての外的な世界との交渉を持つのだ
   それゆえそれは家長にとっての家のようなものだと
   そのように覚知するがよいだろう




詩句九十【覚書】:★《人はこの粗大な身体を通して、すべての外的な世界との交渉を持つのだ》物質世界との関わりは、内的なものと外的なものの二種あり、内的なものは喜怒哀楽という心の変化で、外的なものは、誕生、死、病気といった身体の変化である。そのどちらもアートマンとは直接に関係していない。
★《それは家長にとっての家のようなものだと、そのように覚知するがよいだろう》粗大な身体(肉体)が自分と思うと、それが老いたり、病んだりすると嘆くようになる。だが夢の中では粗大な身体を自分とは思わないので、そのような悩みを忘れている。それゆえ粗大な身体は本当の自分ではなく、家長にとっての家のようなもの、つまり自分の魂が入る器に過ぎないと理解していく。