四七四:「自身」への無明の束縛から解脱することで
    「真実」と「知識」、「至福」の体現であるアートマンを獲得できることは
    聖典の言葉、推論、導師の教えによって証明されていよう
    だが、自らの内で完成を得て、自分でそれを体験することは、もう一つの証明と言えるのだ


詩句四七四【覚書】:★《「真実(サティヤ)」と「知識(ジュニャーナ)」、「至福(アーナンダ)」の体現であるアートマン》ブラフマンは、サット(実在、真実)、チット(意識、智慧)、アーナンダ(至福、喜び)の体現とされて、これを別の言い方で表現したもの。
★《聖典の言葉、推論、導師の教えによって証明されていよう》アートマンの知識に関して、その証明(プラマーナ)となるのは、以下の三つである。@:聖典(シュルティ)。ヴェーダは神の啓示とされる。A:推論(ユクティ)。体験を通して理性的に考えること、また仲間同士で語り合うこと。B:導師の教え(デーシコークティ)。導師と弟子という関係の中での指導が無ければ迷いに陥る。本を読んで疑問を持っても、それに答える人がいないと迷いを晴らせない。それゆえウパニシャッドでは導師の重要性が語られて、聖なる教えは導師と弟子の間の秘密の教えとされてきた。しかしカリ・ユガである現代では、その暴力性と無秩序を抑制し、世界の破滅を防ぐために、現象世界を維持して光明を送り続ける主の存在を、より積極的に人々に知らしめるべきとされる。