四三二:過去のことに思いを巡らさずに
    未来のことを思い患わない
    そして現在のことに関しては、超然としている
    そのような事が、ジーヴァン・ムクタとしての徴だろう



詩句四三二【覚書】:★《過去のことに思いを巡らさずに(アティータ、アナヌサンダーナ)、未来のことを思い患わない(バヴィシャ、アヴィカーラナ)》今という時を最大限にすごすには、過去と未来は考えず、眼の前に現れた義務に最善を尽くすことで、それはすなわち「働くこと」に他ならない。「働く」とは、「傍(はた)を楽にさせる」、つまり人への奉仕を意味する。現代社会は、限られた人生を楽しむべきと考え、仕事よりも遊びが奨励され、それに向けて経済が動いているが、そのような考えの人が多い国は、いずれ滅んでいくことは、歴史が証明する事実である。
★《現在のことに関しては、超然としている(アウダーシーニャ、アピ、プラープタ)》与えられた義務は十分に果すが、それに執心しない。自分を客観的に眺めているので、侮辱や崇拝に心を動かさない。それらの扱いを受けている肉体と自分は別だと理解して、超然としている。この世の事象から心は完全に離れている。その方がかえって物事を正確に判断できる。 参考:「この世の活動にとらわれず、清浄にして有能、中立を守り、動揺去って一切の企図を棄てる、わたしに献身する者、彼をわたしは愛する」(BG12‐16)。