一九二:弟子は質問した
    「 それが錯覚であれ、何であれ
    至高のアートマンがジーヴァの状態になるのは
    ウパーディそのものが始まり無きものであるゆえ
    決して無くならないと判ぜられます



詩句一九二【覚書】:★《至高のアートマンがジーヴァの状態になるのは》「ジーヴァの状態(ジーヴァ・バーヴァ)」とは、主と一つに結ばれたアートマンが、個別魂であるジーヴァとして制限され、サンサーラに支配されることを指す。
★《ウパーディそのものが始まり無きものであるゆえ、決して無くならないと判ぜられます》詩句一八六に書かれたように、ウパーディであるヴィジュニヤーナマヤ・コーシャは、主の物質的エネルギーであるアヴィヤクタから生じたので、主が始まり無きように、主の力で出来たそれも始まりは無い。そしてそのウパーディを自分と同一視するのは、根源的無知ゆえである。だがその根源的無知も、詩句八十三と一〇八に書かれたように、宇宙の創造と同時に発生した、ないしはそれ以前から存在するので、始まりは無い。それゆえ、ウパーディが無始であり、根源的無知(マーヤー)も無始なら、アートマンがウパーディから解放されることはあり得ないと、弟子はそのように疑問に思った。 参考:「物事の好し悪しから発生する相対観の迷いと妄想によって、万物は創造のとき、既に混迷に陥る」(BG7‐27)。

一九三:それゆえ、それのジーヴァという状態は永遠であり
    サンサーラを停止させることはできないでしょう
    ならば如何にしてそこから解脱できるでしょうか?
    ああ、偉大なる導師よ、どうかこれについて語ってください 」

 

 



詩句一九三:★《全体の趣旨》サンサーラは激しく回転する輪である。意識が向上するにつれて、その回転は次第に緩やかとなり、解脱を遂げたなら、ついには停止するに至る。